
遺言書の重要性
唐突ではありますが、人間、死期は誰にもわかりません。わからないからこそ、自分の死後財産や負債が残された家族にどんな影響を与えるのかを考えておくことはとても大切です。結婚、離婚、子供の出生、家やビジネスの購入など、人生のステージが変わる度に遺言書を見直すことは家族の安心のため、また遺族間の無用な争いを避けるためにも重要です。自分の財産の贈与先とその割合、葬式の方法、臓器移植に対する意思表示、残された未成年の子供の後見人の指名など、こうした自分の意思を『遺志』として残された者に伝達する手段は遺言書しかありません。遺言書がない場合は法律に従い、機械的に近親者(法定相続人)に財産が分配されることになってしまいます。オーストラリアでは、遺言書は法的判断能力(精神的に健康であること)を有する成人(18歳以上)であれば誰でも作成することができます。Will...
婚姻関係と内縁関係は同じ?
オーストラリアにおける「結婚」と「内縁関係(デファクト)」について解説します。当地では結婚している場合と、デファクトとしてパートナーと同居しているという場合にあまり違いはない、と考えている方は多いかもしれません。実際には、法律上の扱いは全く同じとは言えません。結婚は手続きを経てMarriage...
家族法:財産分割における、別居後に得た遺産の扱いについて
2019年の統計によると、オーストラリアにおける結婚から別居に至る平均期間は8.5年、結婚から離婚までの平均期間が12....
不動産購入の流れについて(2)物件調査と決済まで
頭金を支払い、不動産購入の契約にサインした後は、どのようなことが行われるのでしょうか。 前回に続き、今回は不動産購入の物件調査と契約締結(Exchange of Contract)から決済(Settlement) までの流れについて解説します。物件調査レポートの精査物件はそのままの状態で購入という前提になっているため、契約締結後に見つかった物件の欠陥を根拠に契約を破棄することは基本的にはできません。契約書にサインした直後に建物の調査レポートや...
オーストラリアでの不動産購入の流れについて
Part I:気に入った物件が見つかってから契約締結までオーストラリアの不動産市場の上昇傾向が続いていますが、初めて自宅を購入しようと考えている方も多いのではないでしょうか。不動産エージェントから弁護士を雇うようにと言われても、弁護士に何をしてもらうのかよくわからないというご質問を頻繁に受けます。...
Victims Support Scheme ( 被害者等援助制度)
先日発表された今年のAustralian of the Yearは、タスマニア出身のグレイス・テイムさん(26歳)です。テイムさんは高校1年生で15歳の時学校の数学の先生から性的暴力を6か月間にもわたり受けました。当時、タスマニアでは性的暴力被害者が事件について発言することを禁じる法律(sexual-assault victim gag...
賃金・手当ての支払い不足(Wage Theft)について
雇用主がアワードなどで規定された賃金や手当を下回る支払いを行っている状態をWage Theftと呼びます。具体的には、最低賃金を守らない、カジュアルの上乗せ賃金を払わない、週末や祭日のペナルティレートを払わない、有給やスーパーを規定通りに払わないなどが挙げられます。