遺されるご家族のために。遺言や相続をスムーズに手続き
ご自身の遺志を反映させるためには遺言作成が不可欠です。そのうち作成しよう、と思っていて突然お亡くなりになることは誰にでも起こりえます。当地では不動産や一定額の財産がある場合には裁判所を通じた相続手続きが必須となり、遺言の有無により手続きの煩雑さが大きく変わってまいります。遺されたご家族の負担を少なくするためにも、是非、遺言を作成しておくことをお勧めいたします。
また、後見人制度を活用し、代理人を任命しておく場合のお手伝いもしております。不慮の事故や病気で判断能力が失われた場合、ご自身の財産の管理を委任しておかないと家や銀行預金などを自由に動かすことが困難な場合が出てきます。例えば老人ホームに入居するためや医療費の支払いのために家を売却しなくてはならない場合、判断能力を失ってしまった所有者は契約書に署名することはできません。委任状があれば、本人に代わって本人の利益を最優先に考えた財産管理が可能になります。当然判断能力を失ってしまった方が遺言を作成することはできませんので、遺言と委任状はセットで作成されるお客様も多くいらっしゃいます。
相続手続きについては、遺言のあるなしにかかわらず手続きを代行いたします。一定額の遺産がある場合、相続手続きが終了しないと故人の遺産を受け取ることは不可能で、あらゆる手続きで誰が遺言執行人なのか、遺言のない場合には誰が遺産管理人なのかを証明するため裁判所からの書類が必須となります。また、日本でお亡くなりになった場合や、受益人が日本在住の方であるなど、日本とオーストラリアを跨ぐ複雑なケースも多く承っております。当事務所の日本でのネットワークを通じ、こうしたケースに対してもスムーズに手続きを代行することが可能です。相続手続きだけでなく、同時に必要となる故人確定申告なども会計士と協力してお手伝いすることが可能ですので是非お問合せください。
有効な遺言の要件
- 18歳以上であること
- 判断能力があること
- 管理執行人(Executor)、相続人(Beneficiary)が指名されていること
- 作成者本人が証人2名の面前で全てのページに署名し、証人も同様に署名していること
- 署名に全員が同じペンを使用していること
後見人委任状について
- 一人に委任しもしもに備え代理を委任するか、最初から複数に委任しておくことも可能。
- 委任状の発効のタイミングは即時有効とする場合と、判断能力が無くなった際に発効とすることも可能。
- 後見人には委任者の利益を最大限考慮した財産管理を行うこと、収支を正確に記録すること、など厳格な義務が課せられるため、必ず弁護士からの説明を受けて納得して後見人となることに同意することが必要。
- NSW州・ACT州・QLD州の場合、委任者が不動産を保有していれば委任状の登記が必要。
一般的な相続手続き
不動産を所有している場合や、一定額(通常は5万ドル程度)の単独名義の銀行預金がある場合、検認手続きが必要となります。スーパーアニュエーション(年金)は遺産に含まれませんが、受取人指定の有無や付帯する保険などを理由にスーパーの運用管理人(Trustee)から検認を要求される場合もありますので確認が必要です。日本で逝去された場合や相続人が日本に在住の場合などは戸籍、死亡診断書などが必要となります。遺産を受け取れない家族からの分配請求の可能性を考え、NSW州では死亡時から1年間、VIC州では裁判所からの検認が下りてから6か月間は、遺産の分配はしない方が安心です。