
名前の変更
英語では発音が難しかったり、電話口で綴るのが大変だったり、特殊な意味の言葉に聞こえてしまったり、と自分の名前に関してあらゆる場面で面倒な思いをしたことがある方はきっと筆者だけではないと思います。オーストラリアでは比較的簡単に名前を変更することができます。今回は本名と異なる名前を使用することについての法律についてお伝えしたいと思います。 日常での使用による変更...
日本から当地にある銀行口座にアクセスする際の問題点
当地に以前留学や仕事で滞在した方、永住している家族を訪問した方など、オーストラリアの金利が日本よりも有利な時代に当地で銀行口座を開設し、まとまった金額を銀行に残したまま日本に帰国した方々からのお問い合わせを受けることがあります。...
相続:夫婦やパートナーが同時に亡くなった場合
弊所で遺言書作成を受任する場合、夫婦やパートナー同士で同時に作成するケースが大半です。その場合、遺産の管財人、相続人としてお互いを指名し、配偶者が亡くなってしまう場合に備え、子供、兄弟姉妹、両親などを代理の管財人や二次相続人に指名してもらうのが一般的です。今回は事故などで二人が同時に亡くなった場合の相続について解説します。...
NSW州で不動産を購入する際の『200日ルール』とは
オーストラリア国籍、永住権を持たない人が当地居住用不動産を単独で購入する場合、Foreign Investment Review Board(“FIRB”)からの認可が必要であることはご存じだと思います。認可が取れたとしても、基本的に外国人が購入できるのは国内の不動産供給を妨げないよう投資向けの新しい居住用住宅に限定されています。100万ドル以下の物件のFIRB認可申請費用は2022年7月29日現在$13,200と高額で、今後も毎年値上がりすることが見込まれています。 購入の認可が下りても、外国人には更に外国人追加印紙税が課されます。税率はVIC州、NSW州、TAS州が8%、その他の州が7%となっています。それだけの費用を支払って物件を購入した後も、Land Taxの外国人追加税、更にはATOに対して毎年賃貸状況に関する申告をする義務もあります。...
Off-the-Planの購入
今回はこれから新たに建築を始めるOff-the-Plan物件の購入について解説します。誰も住んだことのない新しい物件に住むことができるのは当然のこと、内装も好みのデザインを選択することが可能です。新築なので修繕費用もかからず、電気・ガス料金なども 新しく効率的なシステムの導入により、低く抑えることができるでしょう。不動産の上昇サイクルに合えば、物件価格の上昇も期待できます。更に、引き渡しまで時間があるので支払いのための貯蓄を増やすことが可能です。...
コロナ離婚急増中:相手名義の財産を把握しておくことの重要性について
コロナ禍で多くの人の生活が大きく変化しました。 生活パターンが影響を受けただけでなく、ロックダウンのストレスや不安が溜まり、当然ながら夫婦関係がギクシャクしたり、冷えかかった関係がもう限界と感じるようになったり。 コロナがこれまでの自分の人生や家族の絆を見直す機会となり、これからどうやって生きていくかと考えた末、パートナーと話し合うことにより関係がどうにか改善する場合もありますが、別居や離婚という結論を出す人も増えています。 「離婚をしようか考えている」「緊急で財産分与についての相談をしたい」というケースがこれまで以上に増えています。 今回は、別居・離婚に伴う財産分与の際に、相手名義の財産について把握しておくことの重要性について解説します。...
遺言書の重要性
唐突ではありますが、人間、死期は誰にもわかりません。わからないからこそ、自分の死後財産や負債が残された家族にどんな影響を与えるのかを考えておくことはとても大切です。結婚、離婚、子供の出生、家やビジネスの購入など、人生のステージが変わる度に遺言書を見直すことは家族の安心のため、また遺族間の無用な争いを避けるためにも重要です。自分の財産の贈与先とその割合、葬式の方法、臓器移植に対する意思表示、残された未成年の子供の後見人の指名など、こうした自分の意思を『遺志』として残された者に伝達する手段は遺言書しかありません。 遺言書がない場合は法律に従い、機械的に近親者(法定相続人)に財産が分配されることになってしまいます。 オーストラリアでは、遺言書は法的判断能力(精神的に健康であること)を有する成人(18歳以上)であれば誰でも作成することができます。Will...
婚姻関係と内縁関係は同じ?
オーストラリアにおける「結婚」と「内縁関係(デファクト)」について解説します。 当地では結婚している場合と、デファクトとしてパートナーと同居しているという場合にあまり違いはない、と考えている方は多いかもしれません。実際には、法律上の扱いは全く同じとは言えません。 結婚は手続きを経てMarriage Certificateを取得することで即時二人の関係に公証力を持たせることができます。一方、デファクト関係の場合は、客観的に有効なものとして認められる条件は法律分野によって異なります。例えばセンターリンクでデファクトとして認められるための同居期間の規定はないものの、移民法上ではビザ申請の際には12か月以上の同居が求められます(州で関係を登録している場合を除く)。...
家族法:財産分割における、別居後に得た遺産の扱いについて
2019年の統計によると、オーストラリアにおける結婚から別居に至る平均期間は8.5年、結婚から離婚までの平均期間が12. 2年です。つまり、法律上では1年間の別居で離婚することが可能であると規定されているものの、実際には別居から離婚するまでに平均4年程度の時間が費やされているということです。一般に財産分割の協議は、別居を開始してから離婚が成立する前に行われることが多くなりますが、感情のコントロールがまだうまくできない時期でもあり、交渉に費やされる期間が長期化することが多々あります。裁判所を介しての財産分割協議になるとその期間がさらに長期化するのは自明の理です。 協議が長期化していく間に、お互いの貯金やスーパーアニュエーションが増加したり、不動産価格の上昇に反してローン額が減少したりと、別居時から財産分割合意までに総資産額が増加することも多々あります。...
不動産購入の流れについて(2)物件調査と決済まで
頭金を支払い、不動産購入の契約にサインした後は、どのようなことが行われるのでしょうか。 前回に続き、今回は不動産購入の物件調査と契約締結(Exchange of Contract)から決済(Settlement) までの流れについて解説します。 物件調査レポートの精査 物件はそのままの状態で購入という前提になっているため、契約締結後に見つかった物件の欠陥を根拠に契約を破棄することは基本的にはできません。 契約書にサインした直後に建物の調査レポートや...
オーストラリアでの不動産購入の流れについて
Part I:気に入った物件が見つかってから契約締結まで オーストラリアの不動産市場の上昇傾向が続いていますが、初めて自宅を購入しようと考えている方も多いのではないでしょうか。不動産エージェントから弁護士を雇うようにと言われても、弁護士に何をしてもらうのかよくわからないというご質問を頻繁に受けます。 今回は、不動産購入の契約締結までについての流れと留意点について解説します。 購入者(買主)の権利と利益を守る弁護士 まず購入者として留意すべき点は、不動産エージェントや銀行などのローンの提供者からのアドバイスは必ずしも買主の利益を考慮したアドバイスとは限らないということです。...