
シェアハウス:予約金・敷金詐欺や部屋の又貸しのトラブル
日本人のワーキングホリデーや留学生を狙ったシェアハウスなどでの予約金・敷金詐欺や部屋の又貸しのトラブルが絶えません。部屋探しでこのような被害に合わないよう、気を付けるべき点を再度確認してみましょう。
予約金・敷金詐欺のよくある手口
インターネットで見つけたシェアハウスの部屋。不動産会社は通してないけど、シェアメイト募集の広告は日本語で書かれているし信頼できそう。部屋が空くのは2週間先だが部屋を確保するため予約金(holding fee/deposit)として1-2週間分の家賃を先払いするよう要求される。。。内見なしで取り敢えず予約金を払い込んだら、全然連絡が取れなくなってしまったケースが報告されています。また、実際内見(inspection)をして部屋の確認を済ませても、「人気がある部屋なので、すぐ予約金を払わないと部屋が確保できなくなる」と言われ、急いで支払いを済ませたらその後連絡がつかなくなったり、予約金を払い込み借りれることになったと思った物件が実在しなかった、実際入居者募集中の物件でも家主のふりをした人に予約金を騙し取られたなどいろいろ悪質なケースがあるようです。入居時に支払う敷金(rental bond)についての詐欺も同様です。
対応策は?
このような予約金や敷金のトラブルについては、警察はあまり助けになってくれないのが実情です。個人的に注意できることは、まず内見をして物件を確認することです。借りると決める時は、きちんと書面で契約書もしくは合意書を交わし、連絡先を再確認し、予約金や敷金の支払いについては領収書を発行してもらうことが大切です。自分と家主もしくは家主の代理人といつどのようなやり取りがあったかのメモも残しておきましょう。あとでトラブルが起こった時に、そのような記録があれば役立つことがあります。できればキャッシュでなく銀行振り込みを利用し支払いの記録が残るようにすることも重要です。
日本語で広告が出ているからといって、安心して信じてしまうのは危険かもしれません。よくわからない書類には署名しないほうが賢明で、契約書・合意書や領収書が出ないような取引は要注意と言えます。
シェアハウスでの又貸し(sub-letting)のトラブル
NSW州には、賃貸住宅に居住する賃借人の権利と義務を規定してしている住宅賃貸法(Residential Tenancies Act 2010)という法律があります。家主(landlord)と賃借人(tenant)の間で争いが起こった時、二者間で和解できなければ、この法律によりNSW 州民事行政審判所(Civil and Administrative Tribunal)が争いを審理してくれるシステムがあります。
賃借人が家主の書面での承諾を得ていれば、賃借物を又貸しする(sub-let)または賃借権の譲渡(transfer)することができます。家主も特別な理由がない限り又貸しや譲渡に反対することはできません。
よくあるトラブルはシェアハウスなどで、家主の承諾なしに賃借人がヘッドテナント(head-tenant)として勝手に部屋を又貸しした場合です。このようは場合、NSW 州では部屋を借りている人がどのくらい自分の部屋へのアクセスを管理できるか(鍵をかけることができて誰も使えないかどうか)やハウスルールを強要されているかなど諸条件にもよりますが、下宿人(通常食事や掃除付、boarder)または間借り人(lodger)とみなされることがあり、住宅賃貸法の保護を受けられないことになっています。
家主の承諾なしで又貸しが行われた場合、ヘッドテナントは賃貸借契約違反となり、又貸しで部屋を借りた人は追い出される可能性さえあります。また、ヘッドテナントは部屋を借りた人から敷金を自分に支払わせておきながら、部屋を出る時返金してくれないケースもあるようです。
又貸しのトラブルの回避方法
家主から直接でなく、ヘッドテナントから部屋を借りることになりそうな時には、家主の承諾を書面で得ているかをまずヘッドテナントに確認しましょう。承諾があれば、sub-lettingの形態を取り、住宅賃貸法の保護下に入ることができます。シェハウス合意書のサンプル(下記のリンク参照)があるので参考にしましょう。この合意書の署名者はそれぞれ合意書を保管しておく必要があります。
このようなプロセスを踏んで部屋を借りる際、ヘッドテナントはサブテナントから敷金を受け取る場合は、敷金はNSW Fair Tradingに正式に預け入れなければいけない規則になっています。サブテナントとの合意書に敷金を受領した記録が記入されていない場合は、別途領収書を発行する義務もあります。また、状況にもよりますが、一般的に退去を要求する場合、この形態を取っていればヘッドテナントは(大元の家主と同様に)30日前など余裕を持った事前通知をする義務があり、いきなり退去を強要することができません。
これに対し、制定法の保護を受けられないことを承知で間借りするという場合、部屋を借りる際にできる限りの合意を貸主側と書面で取り付けておく必要があります。Boarder・lodgerとして支払らわれた敷金は、NSW Fair Tradingに貸主側が預け入れる義務はありませんが、領収書を発行してもらうことはできます。退去の要求は理由にもよりますが、一般的に妥当な通知(reasonable notice)によるものとされており、例えば毎週ごとの部屋代支払いの場合、7日間のみの事前通知でも妥当と考えられています。
家主やヘッドテナントと問題が起こった時、力関係上借りる人の立場が弱く問題解決に不利になりがちです。部屋を借りている人が法的どのような立場にあり(tenant、sub-tenant、lodger、boarderかなど)、どのような法的保護を受けられるか早目に各エリアの相談センターTenants’ Advice and Advocacy Servicesや弁護士に相談しましょう。