遺言改定の大切さ
皆さんは遺言を持っていますか?遺言の必要性が年齢に関係しないことは方々で言われていることですので、今更強調する必要もないことと思います。そこで今回は遺言を改定することがいかに大切であるかについてお話したいと思います。
最近こういう話を耳にしました。ディファクト関係にあった一方の配偶者が関係破綻を機に家を出たその足で交通事故に遭ってしまい、そのまま亡くなってしまったという不運な出来事です。このケースでは様々なパターンが考えられますが、ここでは、故人が①ディファクト関係前に遺言を作成していたが、破綻後に改定していなかった、②関係期間中に遺言を作成したが、破綻後に改定しなかった、③存命中一切遺言は作成しなかった、という3つのパターンについて考えてみます。
①の場合には、ディファクト関係開始と同時に被遺贈者の規定がディファクト配偶者に置き換わっています。その後、遺言が改定されなかったので、遺言上の被遺贈者はディファクト配偶者のままとなります。
②では、その遺言で配偶者が被遺贈者と規定されていたと仮定すると、関係破綻時にその配偶者への規定は全て無効となっています。但し、その場合配偶者には遺贈を受ける権利を主張する法規定を用いて遺言にチャレンジすることが可能となります。なお、関係期間中の遺言に配偶者への遺贈が明文化されていなかった場合も、状況によっては、配偶者がチャレンジすることも考えられます。
③のパターンでは、遺言不存在の法規定に従って遺産が分配されることになります。故人に子供がないことを前提にした場合、遺産相続人はディファクトの元配偶者となるでしょう。
いかがでしょうか。遺言を遺すことが重要であることは言うまでもありませんが、一旦作成した遺言も、結婚やディファクト関係の開始・破綻を機に改定する必要があることがお分かりいただけることと思います。また、子供の出生や、子供のある人と再婚する場合も同様に、自分が遺言作成時に意図していた規定とは異なる法規定が実際には発生することにつながり得ます。遺言は作成した後も、ことあるごとに自分の境遇・状況に適合しているかどうかを見直すようにしましょう。