コロナ離婚急増中:相手名義の財産を把握しておくことの重要性について
コロナ禍で多くの人の生活が大きく変化しました。 生活パターンが影響を受けただけでなく、ロックダウンのストレスや不安が溜まり、当然ながら夫婦関係がギクシャクしたり、冷えかかった関係がもう限界と感じるようになったり。 コロナがこれまでの自分の人生や家族の絆を見直す機会となり、これからどうやって生きていくかと考えた末、パートナーと話し合うことにより関係がどうにか改善する場合もありますが、別居や離婚という結論を出す人も増えています。 「離婚をしようか考えている」「緊急で財産分与についての相談をしたい」というケースがこれまで以上に増えています。
今回は、別居・離婚に伴う財産分与の際に、相手名義の財産について把握しておくことの重要性について解説します。
離婚を前提に財産分与の協議をするにあたり、事前に相手名義の財産を把握しておくことが重要となります。財産管理は相手に任せっきりで、相手の収入がどのぐらいか、どのような資産をどこに持っているかさえ一切わからないというようなケースも意外に多いようです。関係が破綻してからでは、会話さえ成り立たず、聞きたいことも聞けない状態になることも少なくはありません。 パートナーとの関係が良好なうちに、収入、銀行預金、不動産の登記やローン、有価証券などの投資、生命保険や退職金等についてお互い理解し合い、口座番号などの詳細をできるだけ把握しておくことをお勧めします。相手が財産を隠蔽したり、処分したりする恐れがある場合は、裁判所に保全処分を申し立てることができます。裁判所に緊急で財産を保全する必要があると認められると、財産仮差押え命令などにより、銀行口座などを凍結させ、不動産や有価証券などの売却・名義変更もできないようにさせることができます。また、相手の財産の内容をある程度把握していれば、もし財産を隠されたりした場合でも、調査しやすくなる可能性があります。財産を隠すため海外送金をした分も、調査後に隠蔽が判明し、オーストラリアの口座に戻すようにと裁判所の命令が出たケースもあります。
また、ジョイント口座だけでなく、自分自身単独の口座やクレジットカードまたはデビットカードなどを持つことも重要です。身体的・経済的DVに耐えられず、家を出たものの、自分自身の口座がないため、現金も下ろせず、パートナーから渡されたクレジットカードを使えばどこに隠れているかもばれてしまい大変苦労された方の例もあります。
日ごろからお互いの所有財産をよく把握し合い、財産開示も誠実にできれば、財産分与の合意も時間と費用を最低限に押さえてまとめることができます。 お互いの所有財産を把握することは、関係が破綻した時だけでなく、相手が急な事故や病気の際にも慌てずに済みます。
お金のことはよくわからないからと言って相手任せにせず、できる限り積極的にお互いの所有財産について理解することが大切です。 しかし、相手の所有財産について全くわからない場合でも、弁護士を通して、相手側に財産開示要求を出し、最終的に分与対象となる財産を明らかにすることで、より公平な財産分与の合意を取り付けることは可能です。
縁があって一緒になった人との別居や離婚は、当人にとっては人生の一大事です。家族法専門の弁護士に相談することにより、どうして離婚したいのか、養育費や財産分与、年金分割といった金銭関連はどうしたらよいのかなど、一緒に状況の整理をし、これからの見通しを立てることができます。 一人で抱え込まず、まずは家族法専門の弁護士に相談してみましょう。