
NSW州の永住者に対する不動産課税
今回はNSW州独自の永住権保有者への不動産課税について解説します。
一般的に外国人が不動産を取得する際には外国人投資審査委員会からの認可を取得する必要があり高額な申請費用が掛かること、また追加の印紙税の支払いが発生することはご存じの方が多いと思います。ここでいう『外国人』は、オーストラリア国籍、永住者、当地に住むNZ人以外という定義になっています。
政府が外国人の不動産取得に対する規制強化に動いたのは、不動産価格の高騰や賃貸物件不足を理由に国内の不満が高まったことが背景にあります。その結果、外国人投資審査委員会への申請費用はここ数年で急激に引き上げられました。またATOの外国人不動産取得状況の管理システムも厳格化され、外国人の不動産売却時のキャピタルゲイン税の源泉徴収についても物件価格の最低基準が引き下げられた結果、課税逃れができないようになりました。各州政府も同様に印紙税の外国人追加課税を導入しています。
上述した追加課税は永住者は免除対象となっていますが、NSW州の場合は2016年、独自に永住者に対し、『居住要件』を満たさない場合には外国人と見做し課税するルールを導入しました。居住要件とは当地に1月から12月のうち200日以上居住することであり、その要件を満たさない場合は『外国人』として扱われます。その結果、自宅であってもLand Tax Surchargeが課されることになります。このルール導入後、NSW州政府は移民局から情報を集め、海外に長期間住んでいる永住者を探して通知をしています。従ってこのルールを知らないまま日本に長期間住んでいてある日突然通知を受けて驚くケースが増えています。この居住ルールは不動産購入時にも関係し、契約締結時に居住要件を満たしていない場合、決済のタイミングによっては印紙税にも外国人として追加課税が課される場合があります。
NSW州では自宅以外の保有不動産にかかるLand Taxの最低課税評価額は$1.075millionと高額なため、ユニットなどの場合はLand Taxが発生しないケースがほとんどです(複数の不動産を保有している場合を除く)。例え支払いが必要な場合であっても、税額は評価額の1.6%です。一方、Land Tax Surchargeには最低課税基準額がないため、自宅であろうが投資物件であろうが全ての保有物件に対し一律に課税評価額の5%(2025年現在)の税金が課されます。例えば課税評価額50万ドルのユニットであれば、単独保有の場合$25,000のLand Tax Surchargeがかかることになります。これは通常のLand Taxと比較してかなり高額な税額です。またTax Commissionerには裁量権がないため原則としてどんな理由があっても免除を受けることはできません。導入当時は課税評価額の0.75%に過ぎなかった税率は今年から5%となり、今後も上がっていくと想定されます。これを回避するにはオーストラリア国籍を取得するか、居住要件を満たすしかなく、今後も当地に戻る予定がないのであれば毎年支払いを続けるか、物件を売却するしかありません。
数年前は租税条約がある国の国民として日本人は課税免除となっていましたが、そのルールも変更となりましたので、今後も永住者のまま当地に200日以上居住していない方は毎年この税を負担しなくてはなりません。今後日本に本帰国される予定の方は対応を事前に決めておくことが必要です。また既に日本に生活の拠点を移していてまだ課税されていない方は、いつRevenue NSWから通知が来るかわかりませんのでご注意ください。

